1 / 4 外部素材を調達し、モデルとモーションを取り込む
外部のモデル・アニメーションを探し、利用条件とUnityの取り込み設定を確認して、歩行に使える状態へ整えます。
必要な素材から探す
3Dゲームの制作では、モデル、骨格、アニメーション、テクスチャを別々に調達することがあります。見た目の良さに加え、ゲームで動かすための条件を確認します。今回は「人型で、待機・歩行・走行を切り替えられる探索者」を目標にします。
モデルを変形させる骨の仕組みをリグ(Rig)、動きのまとまりをアニメーションクリップ(Animation Clip)と呼びます。モデルの配布ページに「Rigged」とあっても、歩行などのクリップが含まれるとは限りません。
| 探す対象 | 確認すること |
|---|---|
| キャラクター | 人型の骨格、身長と単位、服装、必要なテクスチャ、FBXなどの形式 |
| アニメーション | 待機・歩行・走行の有無、対応する骨格、ループ、移動量の有無 |
| フィールド | 地面・岩・植物の大きさ、法線、葉の透明部分、近景と遠景の使い分け |
| 共通 | 作者、配布元、ライセンス、加工・ゲーム公開・素材再配布の条件 |
最初は配布プロジェクトの素材で手順を確かめます。通信やアカウントの準備が整う場合は、同じ公式配布元から素材を1点取得し、別フォルダーへ取り込んで比較してください。複数のサービスへの登録や素材購入は必要ありません。
代表的なサービスを知る
次のサービスは目的に応じた入口です。無料か有料かだけでなく、欲しい素材の種類と利用条件から選びます。サービスの仕様や条件は更新されるため、取得時に公式ページを確認してください。
| サービス | 主な用途 | 選ぶ際の着眼点 |
|---|---|---|
| Mixamo | 人型の自動リギング、既存の動作をモデルへ適用 | Adobe IDを使用。モデルとモーションを探し、腕振りや歩幅をプレビューする |
| Unity Asset Store | Unity用モデル、アニメーション、環境、制作ツール | 対応Unity・URP、必要パッケージ、標準EULAか個別条件かを確認する |
| Fab | 複数の制作環境で使うモデル、マテリアル、環境素材 | 商品ごとの形式とライセンスを確認する。Unreal用のデータだけではUnityでそのまま使えない場合がある |
| Quaternius | キャラクター、リグ、アニメーション、各種モデル | 個別パックのCC0表記と同梱内容を確認する。教材の探索者と動作の調達元 |
| Poly Haven | 実物に近い岩・植物・地表、HDRI | アセットはCC0。モデルとテクスチャをまとめて取得し、解像度と実寸を確認する |
| ambientCG | 地面・木材・金属などのPBR素材、HDRI | CC0素材の各マップと実寸を確認し、使用するシェーダーの入力に合わせる |
| Kenney | 小規模ゲーム向けのモデル、UI、効果音 | アセットページの素材はCC0。表現の方向がフィールドや人物に合うかを確認する |
Mixamoは、Adobeの公式FAQでゲームを含む作品への利用が案内されています。CC0として配布される素材とは条件が異なります。Unity Asset Storeは利用規約・EULA、Fabはライセンス案内、Poly Havenはアセットライセンスを確認します。
利用条件と出典を残す
作品へ組み込んで公開することと、FBXやテクスチャを他人へ渡すことは別の利用です。無料素材や「商用利用可」の素材でも、素材そのものの再配布まで自由とは限りません。公開するUnityプロジェクトや教材ZIPには、素材ファイルも含まれる点を確認します。
本教材の同梱外部素材はCC0です。CC0では著作権上の利用・加工・再配布について広い自由が与えられます。出典を記録しておけば、後から入手先や加工内容を調べ直せます。商標や人物の権利などは、著作権の条件だけで決まるものではありません。
| 記録する項目 | 記入例 |
|---|---|
| 素材と作者 | Ultimate Modular Characters / Quaternius |
| 公式ページ | https://quaternius.com/packs/ultimatemodularcharacters.html |
| ライセンス | CC0 1.0、同梱のLicense.txtも保存 |
| 取得日と対象 | 取得した日付、Adventurer.fbxとAnimations.fbx |
| 使用・加工 | Humanoidとして取り込み、URPの材質へ設定し、待機・歩行・走行を利用 |
素材を見つけた検索結果だけで判断せず、作者または公式配布元へ進みます。Webページのロゴや見本画像の条件と、ダウンロードするアセットの条件も区別します。
Unityへ取り込む
配布プロジェクトのAssets/Characters/Adventurer.fbxがモデル、Animations.fbxが動作です。同じフォルダーで名前が似ていても、役割は別です。まず元の素材を残したまま、新しい素材用のフォルダーを作ります。
- FBXと必要なテクスチャを
Assets以下へ置く。 - モデルをSceneへ一時配置し、正面・大きさ・足元の位置を確認する。
- Inspectorの
RigでAnimation TypeをHumanoidにし、Applyを押す。 Configureで骨の対応を確認する。必須の骨が割り当てられ、Avatarが有効であることを確かめる。- 別のアニメーションFBXも
Humanoidとして取り込み、骨格に対応するAvatarを確認する。 Animationタブのプレビューで、待機・歩行・走行をそれぞれ再生する。
Avatarは、モデル固有の骨と「左上腕」「右足」などの人型の役割を対応させます。この対応を通して別の人型モデルへ動きを適用することをリターゲット(Retargeting)と呼びます。違う骨格のファイルへ、根拠なくCopy From Other Avatarを指定しないでください。同じ骨格を共有するファイルであることを確認して使う設定です。
人型以外や、特定の骨の階層をそのまま使う場合はGenericを選びます。Humanoidへ変えるだけで、どんなモデルにも同じ動きを適用できるわけではありません。詳細はUnityの人型モデルの取り込みを参照できます。
ループと移動量を確認する
配布素材ではCharacterArmature|Idle、CharacterArmature|Walk、CharacterArmature|Runを使います。クリップ名の前半は素材側の名前です。別の素材では名称が異なるため、名前だけで判断せずプレビューします。
| 設定・観察 | 今回の扱い |
|---|---|
| Loop Time | 待機・歩行・走行では有効にし、最後から最初へのつながりを見る |
| Root Transformの移動 | その場で動くクリップとして使い、モデルが再生とともに遠くへ流れないことを確認する |
| Apply Root Motion | 無効。今回の位置移動はNavMeshAgentが担当する |
| 歩幅と再生速度 | 足の接地を見て、ゲームの歩行速度と大きくずれていないか確認する |
アニメーションに含まれる体全体の移動を使ってキャラクターを進める方式がルートモーション(Root Motion)です。今回は移動処理と見た目を分けるため、クリップ側のルート移動を取り込み設定で処理し、Animatorから位置を動かしません。Apply Root Motionを外すだけで、骨に記録されたすべての移動が消えるとは限らないので、必ずプレビューとSceneで確認します。UnityのRoot Motion解説
Mixamoを使う場合の流れ
講師の実演または任意の素材差し替えとして扱います。使うモデルの利用条件を確認したうえで、Mixamoのモデルを選ぶか、自分がアップロードしてよい人型モデルを用意します。
- モデルを選び、待機・歩行などの動作を検索する。
- プレビューで手足の向き、服へのめり込み、歩幅を確認する。
- 移動処理をコードで担当する場合は、対応する動作で
In Placeを選び、その場の歩行にする。 - Unityへ持ち込めるFBX形式で保存する。モデルを含むデータと、動作だけのデータの違いを確認する。
- UnityでHumanoidのAvatarとクリップを確認し、複製したキャラクターで試す。
動作の種類によって調整項目が異なります。画面の項目名を暗記するより、「モデルを用意し、動きを選び、ゲームで使える設定にする」という流れを押さえます。
フィールド素材で同じ手順を試す
自然物も、取得して置くだけで完成とは限りません。昼の明るい照明で、岩の法線、葉の透明部分、実寸、材質を確認します。材質がピンクなら、URPに対応しないシェーダーや参照切れを調べます。
PBR(Physically Based Rendering)は、表面の反射特性を使って質感を表す考え方です。色の画像、凹凸を表すNormal、粗さを表すRoughnessなどは役割が異なります。UnityのSmoothnessは滑らかさなので、Roughnessとは値の向きが逆です。マップの名前と格納チャンネルを確認し、見た目が近いという理由だけで別の入力欄へ入れないようにします。
授業の森林では、Blenderで作った道と斜面に林床素材を適用し、道の両側へ草・シダの群落、岩、低木、樹木、遠くの林を配置しています。道の中央を開け、岩や木の足元へ植生を寄せることで、歩く場所と景観の両方を読み取りやすくします。別の科目を受講していなくても、この確認だけで素材を扱い始められます。
- 使用した素材の公式配布元と利用条件を説明できる
- モデル・リグ・アニメーションクリップの役割を区別できる
- Avatarが有効で、待機・歩行・走行をプレビューできる
- 材質・実寸・足元の位置をSceneで確認した
- 作品への組み込みと素材の再配布を区別できる