Appearance
第05回 炎・煙
前回: 第04回 火花・ヒット / 次回: 第06回 爆発
今回の授業内容
- 炎と煙の動き、色、寿命の違いを理解する
- ループする炎と煙をParticle Systemで制作する
- Noiseで粒子の軌道へ不規則さを加える
- Texture Sheet Animationで粒子の形を変化させる
- 密度と描画負荷のバランスを調整する

炎と煙の違い:調整の違いだけで別物に
炎は光と熱の勢いを見せる表現です 上方向へ伸びながら、明るさと形が細かく揺らぎます
煙は燃焼後に残る粒子や空気の濁りを見せる表現です ゆっくり広がり、薄くなりながら消えていきます
どちらも半透明の粒子を重ねて作りますが 色、速度、寿命、発生量の調整方針は大きく異なります
ループエフェクトとして考える:出続ける表現を安定させる
煙や炎は一瞬だけ出て消えるのではなく 一定時間出続ける表現として扱うことが多いです
ループエフェクトでは 発生量、寿命、速度のバランスが重要です
発生量が多すぎると重くなり、寿命が長すぎると画面に残りすぎます また、単にパーティクルの数が多ければ良い結果が得られるわけではありません
処理負荷を考慮しながら、密度と情報量を調整しましょう
炎の特徴:上へ伸び、明るく揺らぐ
炎は下側が明るく 上へ行くほど暗く、透明になっていきます
粒子は上方向へ移動しながら サイズや形が揺らぎます
色は白、黄色、オレンジ、赤の順で 温度差を感じさせる構成にしやすいです
煙よりも短い寿命で 速く動かすと炎らしくなります
炎の基本設定:最初の目安
| 項目 | 目安 | 目的 |
|---|---|---|
Looping | On | 燃え続ける |
Start Lifetime | 0.4 - 1.2 | 速く消す |
Start Speed | 1.0 - 3.0 | 上へ伸ばす |
Start Size | 0.2 - 0.8 | 密度を作る |
Rate over Time | 20 - 60 | 連続感を出す |
Shape | Cone | 上方向へ集める |
炎の色変化:明るい中心から赤く消す
開始時は白や黄色に近い明るい色にします
中盤でオレンジに寄せます
後半で赤や暗い色に寄せつつ アルファを下げて消します
発光感を出す場合は マテリアルの設定も合わせて調整します
煙の特徴:ゆっくり広がりながら薄くなる
煙は発生直後は比較的濃く 時間が経つほど薄くなります
粒子は上方向へゆっくり移動し 横方向へも少し広がります
サイズは寿命とともに大きくすると 空気中に拡散していく印象になります
色は白、灰色、黒に近い低彩度を使います
煙の基本設定:最初の目安
| 項目 | 目安 | 目的 |
|---|---|---|
Looping | On | 出続ける |
Start Lifetime | 1.5 - 4.0 | ゆっくり消える |
Start Speed | 0.3 - 1.5 | 低速で上昇する |
Start Size | 0.4 - 1.2 | 大きめに見せる |
Rate over Time | 5 - 20 | 密度を作る |
Gravity Modifier | 0付近 | 落下させない |
煙の色と透明度:濃く出て薄く消す
Color over Lifetime で 後半のアルファを 0 にします
開始直後から完全に濃いと 粒の発生位置が目立つ場合があります
前半で少し濃くなり 後半で薄く消えるカーブにすると自然に見えます
煙は画面を隠しやすいため アルファは控えめに調整します
煙のサイズ変化:拡散する印象を作る
Size over Lifetime で 寿命とともにサイズを大きくします
後半で大きくしすぎると 画面を覆って見づらくなります
サイズのランダム幅を持たせると 同じ粒が並んだ印象を減らせます
炎と煙を重ねる:1つの現象を複数要素で作る
炎だけだと軽く見え 煙だけだと燃えている印象が弱くなります
下側に炎、上側に煙を重ねると 燃焼している雰囲気を作りやすくなります
炎は短く強く、煙は長く薄く設定します
役割を分けておくと 後から調整しやすくなります
ノイズの役割:不規則さを加える

煙や炎のような現象は規則的に動いているわけ ではなく、常に揺らいでいます
ノイズは粒子の動きや形に 不規則な変化を加えるために使います
Particle System の Noise モジュールを使うと 粒子の軌道を揺らすことができます
シェーダー基礎のノイズ回でも 同じ考え方をより詳しく扱います
Noise モジュール:粒子の軌道を揺らす

| 項目 | 調整する内容 |
|---|---|
Strength | 揺らぎの強さ |
Frequency | 揺らぎの細かさ |
Scroll Speed | ノイズの変化速度 |
煙では弱くゆっくり、炎ではやや速く細かくすると扱いやすくなります
テクスチャーシートアニメーション:コマ送りで表示を切り替える

出典:Unity Technologies 「無料のVFX画像シーケンスとフリップブック」
https://unity.com/ja/blog/engine-platform/free-vfx-image-sequences-flipbooks
テクスチャーシートアニメーションは 1枚のテクスチャーを複数のコマに分割して 寿命に合わせ切り替え表示するアプローチです
粒子の寿命に合わせてコマを切り替えることで 煙や炎の形が変化しているように見せられます
フリップブックとも呼ばれる表現方法で 連続的な変化を作るのに便利です
Texture Sheet Animation の設定:Particle System 側の設定
Texture Sheet Animationを有効にする- グリッド上にコマが並んでいるテクスチャーを用意する
Tilesの X と Y に分割数を設定する- 全コマを再生する場合は
Whole Sheet、行単位で切り替える場合はSingle Rowを選ぶ
テクスチャーアニメの調達:高度な素材であり、調達は難しいかも
テクスチャーアニメは、1枚のテクスチャーに複数のコマが描かれた素材です
炎や煙の動きを丁寧に描くか物理シミュレーションが必要なため、 作成には専門的なスキルやツールが必要になります
Unity Technologies が Houdini で作成したVFX用のテクスチャーアニメを CC0で提供しています 利用を検討してみてください
無料のVFX画像シーケンスとフリップブックも参照してください
シェーダー基礎との接続:半透明と UV の知識を活用する
炎と煙は半透明の重なりで表現します
マスクや Alpha の調整で 粒子の輪郭をやわらかくできます
UV スクロールを使うと 炎や煙の流れをマテリアル側で作れます
今回は Particle System 側の機能を中心に扱い 後の回でシェーダーとの連携を強めます
実習:炎と煙を作る
手順1:炎のParticle Systemを作る
- 空の GameObject を作成する
- 子にParticle Systemを追加する
LoopingをオンにするStart Lifetimeを短めにするStart Speedを高めにするShapeをConeにして上方向へ集めるRate over Timeで密度を調整する
手順2:炎の色と揺らぎを調整する
Color over Lifetimeで 白、黄色、オレンジ、赤の流れを作る- 後半でアルファを下げる
Size over Lifetimeで上に行くほど細く見せるNoiseを加えて揺らぎを作る- あとで煙と重ねて全体のバランスを調整する
手順3:ループする煙を作る
- 新しいParticle Systemを作成する
LoopingをオンにするStart Lifetimeを長めにするStart Speedを低めにするShapeを調整して上方向へ発生させる
手順4:煙の色、透明度、サイズを調整する
- 灰色系のマテリアルを割り当てる
Color over Lifetimeで後半を透明にするSize over Lifetimeで少しずつ大きくするNoiseを弱めに加える- 画面を隠しすぎない密度に調整する
手順5:Texture Sheet Animationを試す
- 複数コマの煙または炎テクスチャーを用意する
Texture Sheet Animationを有効にするTilesの X と Y を設定する- 寿命に合わせてコマが切り替わるか確認する
- 再生速度と発生量のバランスを調整する
授業内課題:炎と煙のどちらか、または 両方を使ったエフェクトを 提出してください
完成条件
- ループ再生される
Color over Lifetimeで透明度が変化するSize over Lifetimeで大きさが変化するNoiseまたはTexture Sheet Animationを使っている- スクリーンショットまたは動画で結果が確認できる
提出時の説明:調整意図を添えてください
- 炎、煙、または両方のどれを作ったか
- どのパラメーターで動きの印象を作ったか
- どのパラメーターで見た目の密度を調整したか
- 改善したい点
今回のまとめ:炎と煙は連続的な変化で作る
- 炎は短い寿命で上へ伸び、明るく揺らぐ表現です
- 煙はゆっくり広がり、薄く消える表現です
Color over Lifetime、Size over Lifetime、Noiseを使うと 連続的な変化を作れます
参考資料
- Unity Technologies が提供する無料のVFX画像シーケンスとフリップブック
https://unity.com/ja/blog/engine-platform/free-vfx-image-sequences-flipbooks